2017年2月19日日曜日

宮古島便り (10)

通りすがりの畑の片隅にたわわにみのるばなな
手は動くようになるの (1)

もちろん動くようになります。
手は壊れていません。
壊れたのは脳なのです
ですがそこは1~2週間後
には修復され新品状態で
待機しています。問題は手を動かしていたプログラムが
消滅したことです。

プログラムは何度でも作れます
から安心してください。プログラムは自分で作るもので
他人に作ってもらうことはできません。
訓練は消滅したプログラムの再構築をすることなのです。
プログラムなどと聞くと難しそうで自分には無理だと
思う方もおられるでしょう。でもそんなことはありませんよ、誰でも手足を動かす 話をすることなど幼児期に身に付けますが、すべてプログラムができて動く話すを実現しているのです。もちろんそのときにプログラムに関する知識など有ろうはずもなくただ人まねをしてそのようになろうと幼児なりに努力した結果自然とプログラムができたのです。
ですからプログラムを造った意識もなくそんなことはできないと思っても当然なのです。

ネットワークができて動くようになるのではありません
手足を動かしたり話をすることなどはネットワークが
できれば実現できるほど単純ではありません。
一つの筋肉だけでも千分の3ミリ程の細い筋源繊維
何十万何百万と集まってできています。動かすためにはその一本一本に信号(電気信号では有りません)を送っていますが
信号は強弱のコントロールを精密に行う必要があり動かした
分量もリアルタイムに受け取らないといけません。
こんなことはネットワークなとどという言葉で説明できることではありません。

ネットワークとは網状に繋がれた回路ですがそれは物理的な
構築物です。その中に何か意味のある信号を流すための道具
にすぎません。
私の問題にしているのはその中を流れている信号(化学変化による電位差)そのものなのです。
その信号は脳内で造られていますがその細部どころか信号の
存在すらわかっていないのです。
脳波。筋電図。心電図。など信号をとらえているではないかと言われるかもしれませんが、とらえているものは信号が来て筋肉が反応したことから起こった電位差を検出しているに
過ぎません。
どんな信号が来たのか、それはどんな意味を持っていたのか
などは何もわかっていません。
何もわからないままにわかっているように説明しているだけです。

手足を動かしたり話をするプログラムは
作り方を知らなくても脳内で自動的にできますから作り方は
知らなくても大丈夫です。
大事なことは正しいプログラムを脳が造ることができるようにすることです。
麻痺からの復活訓練は脳が正しいプログラムを造るために
人は何をすべきか、すべきでないかだけです。
それをわきまえて訓練すればプログラムは脳がつくってくれますから脳に任せておけばいいのです。
次回からは手を動かすプログラム造りの話をします。


2017年2月18日土曜日

宮古島便り (9)

構音障害の訓練 (4)

構音障害の訓練は今回が最後です。

構音障害で不自由しておられる方、家族の方は大変なご苦労をしておられることで
しょう。

正しい訓練さえすれば言語は戻ってきます。
指導者には誰でもなれます。訓練は忍耐と愛情が一番大切です。愛情があるが故にしつこくなったり強い言葉が出たりして当然なのですが愛情プラス言葉を発することのできなくなった相手の心に想いをはせることができるなら、あなたは 
最高の指導者です。技術はいりません。特別なことを教えるのではありません。

先頃まで自由に話していた言葉をもう一度話せるようにするだけです 英語を学ぶ訳ではありません。
これまでに書いた言語、構音障害のブログを読んで参考にしてくだされば言葉を取り戻すことは十分可能です。

脳卒中後の脳は驚くべき復活力を発揮します。
それは想像を遙かに超えた素晴らしいものです。
大切なのは自分の脳に備わっている能力を信じ感謝する
気持ちです。
それさえあれば復活は現実のものとなり
あなたも周りも幸せに包まれるでしょう。


2017年2月17日金曜日

宮古島便り (8)

構音障害の訓練 (3)
構音障害は、あいうえお、の
50音を発することができなくなった症状であることについては誰も異論は無いと思います。
であるなら50音を発することをできるようにすることが構音障害ののリハビリであるはずです。ですがその訓練を
しているリハビリテイション病院は非常に少ないのが現状です。なぜこんなことが起こっているのか理解できません。

構音障害の患者さんに50音の訓練をしてもらうと短時間で
構音障害が改善します。改善には経過年数は関係しません。

研究者の皆さんはどのように考えておられるのかお聞かせください。

伝えたい事柄が伝わらない苦しさは想像に難くありません。
日本語を母国語としていながらその素晴らしさの恩恵を
受けられないのです。
悲しいではありませんか。

50音は表音文字です。しかも一文字に対する音は一音だけです。こんなにシンプルなのに表す言葉の数は他言語に比べ
非常に多く同音異義語は多くて二つです。アルファベット圏の多さから比べたら比較になりません。
アルファベットも表音文字ですが一文字に対する音が多く
存在し構音障害の克服には大変な努力を要するでしょう。

アルファベット圏の構音障害の人に文字を元にした言語指導はいたずらに混乱を招くだけになり文字からはなれた指導が
重要なのは理解できますしそれらの研究論文も多く存在しています。 文字と言語の関係が複雑で発音と文字を関連付けることができないのです。その意味では表現方法として基本的に欠陥を含んでいます。

外国の構音障害のリハビリの仕方は日本には参考にならないばかりか障害にさえなります。
研究者の方が素晴らしい日本語ならではの指導法を研究し発表されるのを切に希望します。



透き通るマリンブルーの海を見ながら車椅子で歩行練習中の雪国Aさん夫妻

2017年2月16日木曜日

宮古島便り (7)

構音障害の訓練 (2)

雪国Aさんは奥さんが先生に
なって言葉の訓練です。
先生ぶりが板についてきて
夫婦で息の合った授業です。

今日は50音がかなり上達したので文章を読む練習です。
リハビリ病院で言語聴覚士の指導で言葉の訓練をしましたが
コミニケーション能力は少しの改善もありませんでした。

50音を教えることなく絵カードによる会話レッスンで
言葉の基本である50音が自分流の発音になり意味不明の
音の羅列になりコミニケーションが全くとれなくなってしまったのです

口腔内筋肉の50音を構成する一覧表に間違ったデーター
を書き込んでしまったのです。
正しい音は適切な指導者の元でしなければ正しく音を
発するようにはなれません。
雪国Aさんはこの指導者に恵まれなかったため正しい
一覧表ができないばかりか間違ったデーターで一覧表を
作ってしまいました。

一度作ったデーターを修復するのは大変です。
そのデーターの修復作業の先生が奥さんなのです。
朝食を終えるとすぐに授業が始まります。
始めてから今日で九日めです。
雪国Aさんの進歩はめざましく50音はほぼ理解できるまでになり写真の文章朗読練習になりました。

間違ったデーターが無く 白紙状態なら50音を学ぶのは
難しくはありませんが雪国Aさんはリハビリ病院で受けた
リハビリでできてしまったデーターの作り直しのため
毎日2時間ほどをかけ今日に至りました。

言語聴覚士の方も自分が指導したことで患者が苦労している
ことなど思いもよらぬことでしょう。
脳卒中の後遺症のせいだから言葉を話すことが難しくなってしまったのだから仕方ないと思っていると思います。

何ヶ月も指導してもコミニケーションがとれなかった患者が
一ヶ月もしないうちに会話を不自由なくできるようになるなど理解できないと思います。

指導能力が無かったわけではありません。
学校で学んだ指導方法が間違っていたのです。
雪国Aさんも被害者ですが指導者も被害者なのです。
加害者はいないのでしょうか、

雪国Aさんを指導しているのはリハビリの素人の奥さんです
その奥さんの指導で驚くような改善をしているのです。
誰がするかでなく方法が正しいか、正しくないか、だけなのです。

このブログを読んでいる方の中にも言語障害の方があるかも
しれませんが正しい指導さえ受ければ経過年数に関係なく
改善しますから希望を持ってください。

ブーゲンビリアの花 島のそこかしこで咲いています。

2017年2月15日水曜日

宮古島便り (6)

構音障害の訓練(1)

構音障害は話す内容を頭の中にまとめることはできますが
言葉として発することができなくなった状態です

なぜ言葉として発せないか
声帯の振動音を、どのようにして、あいうえお 、に聞こえる音にしているのでしょう。

声帯は一定の振動をしているだけのリード楽器のリードに
過ぎません。楽器はリードの振動音の高低を変化させて音楽を紡ぎますが人は声帯の振動を固有の意味を持った音に変化させコミニケーションをとる手段にすることを発明したのです。
人類の素晴らしい大発明です。

声帯から出た単純な振動音を唇から出るまでに口腔内の
共鳴具合を変化させることで文字の読みを意味する音に
変化させるのです。
声帯から唇までのわずかな空間を巧みに使うことで声帯からの振動音は表音文字の一音ごとの意味を持った音になります。

私達人類は口腔内のこの仕組みを解明するに至っていません
共鳴を変化させるために数十とも百とも言われる筋肉が
関わっています。これらの筋肉を動かす指令を出しているのが脳内の言語野なのです。

一つの筋肉を動かす量はミリ単位かそれ以下です。
言語野には50音のそれぞれに対する筋肉寸法を記録した一覧表がありそれに従い各筋肉の寸法を調整して50音を
形成しているのです

一覧表は50音の一音ごとに数十もの筋肉の寸法が厳密に
区分けされ記録されています。

構音障害はこの一覧表が消滅した事態なのです

一覧表の再構築
もう一度、失われた一覧表を作らないと声帯からの振動音を
表音文字の、あいうえお、にすることはできません。
この作業に日本語ほど優れた特質を持っている言語は
世界にありません。
構音障害の訓練と表音文字の50音は切っても切れない関係を持っています。
「奇跡の復活教室」ではこの関係を利用することにより
素晴らしい成果が挙げられているのです。


訓練の詳細
訓練は難しくはありません。
重要なことは患者が50音以外の音を発しないことです。
新しく再生した脳の言語野の一覧表はすべて空白です。
いい加減な発音をするとそのデーターが書き込まれてしまいます。
正しい発音を一音ずつ発してその時の各筋肉の寸法を
書き込まないといけません。
指導者と患者は向き合いあいうえお、から教えます。
自分が発している音が相手に正しく聞こえているのか本人にはわかりずらく、指導者が正しい発音になっているか
チェックし正していかないといけません。
正しい音になったら
一音を2~3秒の長さで発音します。
2~3秒の長さでゆっくりと安定して発音することにより脳は各筋肉の寸法を正確に読み取り記録することができるのです。

早口言葉や間違いやすい言葉を羅列して言わせることは
絶対にしてはいけません。

一覧表に間違ったデーターを書き込むと修正するのが
大変です。

2017年2月14日火曜日

宮古島便り (5)

言語障害の話をします。

話をするには頭の中で質問の内容に合う言葉を探して文法通りに並べて言葉を発する器官に送りそこで音声となります。

言葉を発するまでには幾つもの手順を経ないとなりません。
その過程のどこに問題が生じたかによって症状は変わってきます。

その症状に合わせたリハビリでなくてはなりません。

(1) 質問の内容が理解できるかどうか

コミニケーションは相手の言っている内容を理解しなければ
成立しません。これができなくなる場合もあります。

(2) 質問の内容はわかるが答えがわからない。

簡単な答えのはずなのにわからない。
一見記憶喪失のように見えますがそうではありません。

(3) 答えはわかるがうまくまとまらない

とりとめのない話になったり、全く違う話になったりします

(4) ここまでは問題ないが言葉が相手に伝わらない

発音器官を操ることができない。これは構音障害です。

失語症は大きく分けると(1) (2) (3) (4) このようになると思いますが高次脳機能障害ともダブル場合もあり複雑です。

失語回復で重要なのは(1)~(4)のどれに当たるかで
訓練の内容は全く違ってきます。

雪国Aさんは(4)の状態で構音障害です。
リハビリ病院で受けた訓練は(1)の障害者向けの訓練でした
 
絵カードを見せられ それについての話を求められました
雪国Aさんは(4)以外は問題ありませんから答えはすぐわかりますが50音の発し方がわかりませんから一生懸命に伝えようとしました。その結果50音の発音が全く自己流の発音になってしまいました。その病院では50音の練習をすることを禁じられてしまい正しく発音する訓練の場もなかったのです。私には考えられないことですが多くの病院のこれが現実です。

次回は雪国Aさんが(4)克服のためにどんな訓練をしているか
お話しします。


下の写真はすぐ近くの畑一面に咲いている花です。
 きょうも良い天気で周りは春です。 















2017年2月13日月曜日

宮古島便り (4)

宮古島に来て、早くも一週間になりました。
宮古島にしては寒い日々でしたが、今日は車の窓ガラスを
開けて走ると心地よい気温になりました。

訓練の進み具合は順調で雪国Aさん夫妻も楽しそうです。
雪国Aさんには環境の変化がとても大きく少し休養が
必要かもしれませんが本人は食欲もあり奥さんの手料理を
美味しそうに平らげてすこぶる元気です。

このブログを読んでいる方の中には失語症でもどかしい
日々を過ごしている方もあると思います。
手足が動かないのも困りますが言語障害はそれに劣らず
本人はもどかしさでストレスが大きくなり大変なのです。

私も再発時は言語障害になりました。
自分は正しく発音しているつもりですが相手に伝わらず
もどかしい限りでした。

脳卒中の後遺症は一部を除けば一過性の障害です。
決して一生モノではありません。

「奇跡の復活教室」ではこの障害は治すことはできないので
一生、障害と付き合って生きていくしかありませんと病院で
言われた方々が改善し病院の先生方を不思議がらせた方が
何人もおられます。

脳の復活力は素晴らしいものがあります。
脳卒中で脳は壊れてしまいますが予備で待機している
所に新しいネットワークができて7~10日後には新しい
活動を始めます。

脳は平常時には5パーセントの活動域で
人の生存のすべてを行っています。95パーセントは
まさかの時のために待機しています。最近その部分が
幹細胞状態で待機しているということがわかりました。

損傷の起こった部位に、とって替わる能力を持って待機しているのです。

それならすぐに後遺症障害はなくなりそうですが現実は
そうはなりません。

なぜでしょうか?

脳細胞が体を動かしてはいないからです。

では何が動かしているのか。

脳細胞の中にあるプログラムがすべてを動かしています
決してネットワークがつながって動き出すのではありません

人の体の中にはコントロールしなければならない箇所が無数に存在し受け取らなければならない情報発信センサーも無数にあります。それらとやり取りするするために脳からは
数億本にも及ぶ神経が出ているのです。しかもこの中の5パーセントですべてを賄い95パーセントは予備として存在しています。

脊椎損傷になる人が毎年2~3万人発生するそうですが
その方々も復活の可能性があるのです。
私の知っている方の中にも脊椎を損傷し一生車椅子ですよ。
と言われ3年の自己訓練の結果、日本の100名山踏破を
目標にあと残すところわずかになった方がおられます。

諦めないことと正しい訓練さえすれば不可能はありません。

身体を生存さすプログラムは再構築できます。
正しいプログラムを作らないといけないのです。
外部からの力でプログラムを作ることはできません。
すべて本人が行動した結果としてプログラムはできます
ロボットティチィングの手法そのものです。
ですから患者に無理な動きや道理に合わない行動は
絶対にさせてはいけないのです
いったん記憶したプログラムを修正することは大変な労力を
要します。患者に接する人はこのことを良く理解して当たらないと取り返しのつかないことをしてしまうことになります

定説を覆すことは容易ではありませんが私の関わる方々が
その証人となってくださる日が必ず来ることを信じて
います。