2015年10月10日土曜日

堀尾 憲市著『奇跡の復活』より  第2章”険しい道への第一歩”

入院して一週間程した時、リハビリの方が
「お医者さんから動いてもいいという
許可が出たので、今日からはリハビリを
病室のベッド上ではなく
専用のお部屋に行ってしましょう」
と迎えに来られ
車いすに乗せてもらった私は
長い廊下を幾度も曲がった先の
リハビリ室に行きました。
そこには大勢の人たちが
リハビリに励んでおられました。

「それでは、これから座る
練習をしましょうね」

と療法士の方が優しく声を
かけてくれます。
みなさんに両脇から支えてもらって
リハビリ用のベッドにゆっくり座らせてもらいました。

療法士のSさんが、私の両肩を支えて
慎重に重心を取ります。
私は手も足も動かないけれど
座っていることぐらい教えてもらわなくてもできます。
と口から出そうになるのをぐっとこらえて
素直にされるがままになっていました。

Sさんは、支えていた私の両肩から
手をそっと離されました。すると
私の上半身は、ゆっくりと傾きはじめました。

これはいけない、と立て直そうとしても
全然体が反応しません。
何度も立て直し、慎重に重心を取っては
繰り返してくださるのに
その度に四方八方に傾き
とても座っていることなどできません。

座っていることもできないなんて
いったい自分はどうなってしまったんだろう。
事態は深刻です・・・

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

四足から二足歩行への進化。ただ単に真っ直ぐ立つ、そのことがどれだけ精密、緻密なセンシングと複雑な制御によって可能となったのか。私も手術後にこれを想いました。

柱千本の家 さんのコメント...

Takashi KOBAYAKAWAさん、普段は何にも意識しなくてやっていることが本当はものすごいことを毎秒やっているのですね。麻痺した方はこれを意識的にやって脳にたたき込まないといけないので大変なことです。^^;